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鍾繇体について by冴丸

今回は「鍾繇体」について書こうと思います。

 

 

 

鍾繇体とは

中国の三国時代鍾繇という人物が書いていた字体です。

初めて字(書)を芸術として捉えるようになったきっかけを作った字体とも言われています。

 

一般的に楷書と隷書の中間のような字体といわれ、一画ずつが離れていて尖りの少ない丸みを帯びた特徴を持っています。

当時は楷書などという字体の分類はなく、後世の書家によって楷書に分類されました。

 

 

 

鍾繇って?

後漢末期~三国時代の人物で魏の曹操曹丕曹叡 に仕えていました。

当時にしてはかなりの長寿で80歳でこの世を去っています。

また、先ほど書いたように鍾繇体は書を芸術として鑑賞するきっかけを作った字体ということもあり、書道の祖ともいわれています。

 

 

余談ですが、鍾繇がおよそ74歳の頃に生まれた鍾会という息子がいます。

鍾会も大層字が上手く、草書と隷書が得意だったと言われています。また、他者の筆跡を真似るのも上手く、その才能を活かして剣を騙し取った逸話も残っています。

 

 

 

 

 鍾繇体の特徴

初めに軽く触れたように、

  • 楷書と隷書の中間のような字体
  • 一画ずつが離れている(=独特の空間が存在)
  • 丸みを帯びた線(尖りが少ない)

 

簡単言えば「生まれたての赤ちゃんのような字体」だと思ってください。

 

 

そういった特徴を持っているだけに、なかなかバランスが取りにくく一画を離しすぎると字として認識しにくくなってしまうような不安定な字体だと自分は考えています。

なので、決して迫力あるカッコイイ字体とは言えません。

どちらかといえば優しく趣きのある字体です。

 

 

 

 

 

鍾繇体を知ったきっかけ

三国時代に興味を持っていたため「どうせ臨書するならその時代の字を書きたい」と思い調べ、偶然目にしたのが鍾繇体でした。

 

 

それまでは特にこだわりもなく先生から頂いたお手本で練習していた自分ですが、鍾繇体を知って以降は専ら鍾繇体の臨書ばかりしています。

自分が得意とする書風と見事に合っていたためか、先生からは「3年は研究鍾繇体の勉強)しなさい」と言われ現在2年目です。

 

 

 

 

 

だいぶ遅くなってしまった本題

鍾繇体問題

インスタで人が書いた字をぼーっと眺めていた時、鍾繇体のタグが目に入り興味本位で見てみたところなんと……

 

 

なんと………

 

 

 

みんなクッソ固い字で真面目に臨書しているではないか……

 

 

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鍾繇体臨書(研究初期の頃)

 

 

そう、ちょうど自分が鍾繇体の臨書をしはじめた初期の頃のような…ちょうど写真のような固くて鋭い字ばかりが出てくる出てくる…………

 

 

 

 

対して現在の自分が書く鍾繇体は…

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宣言下の自粛中、手遊びでやった臨書

だいぶ丸っこくて胴長短足の字体……

 

 

臨書してるモノは同じはずなのにおかしいな

 

 

 

その時、ふと、

「本当に自分は鍾繇体の特徴を捉えきれているのだろうか……」

と思ってしまい自信が無くなった。

 

 

お手本と見比べてみても自分が臨書したものはお手本からかなりかけ離れている。

知らない間に鍾繇体の特徴を誤解して乖離してしまったのではないだろうか…

 

 

そう悩むようになり悶々としていたのが個人的「鍾繇体問題」

 

 

 

 

先生に相談

昨日、緊急事態宣言明けで約か月ぶりの書道教室だったので先生に実際の画像と自分の鍾繇体を見比べてもらい「本当にこれで会っているのか不安」だということを相談してみた。

 

 

結果、先生曰く

SNSでよく見かける鍾繇体の臨書はかっこよく見せようとしているので自分(冴丸)の臨書と違っていても問題ではない。

そもそも鍾繇体は生まれたての赤ちゃんのような字体で格好のいい字ではないので、自分の臨書の方が特徴を引き出せているから自信を持っていい。

  

と助言を頂き見事自信が復活した。

 

 

 

 

個人的感想

人によってどこまで特徴を捉えて引っ張り出すかが全く違うのだと改めて知る事ができ、いい経験になったと思う。

それと、見たままを書くだけではその字体の本質に迫れないのだとも感じた。

 

 

ここで断っておくが決して他者が書く鍾繇体を否定したいわけではない。

ただ他の人には鍾繇体で負けたくない、という気持ちもある。

 

 

然しこの字体は本質に迫れば迫るほど一般から評価されにくくなる字体だとも聞いたので乗り越える壁は高そうだ…………(∵)